建設業における採用戦略と戦略を立てる際のポイント
自社が求める人材を獲得し採用活動を成功させるためには、戦略を立てる必要があります。
人材不足が深刻化する建設業においては、求職者を待つだけでなく具体的な戦略を立てて計画的に採用活動を行わなければなりません。戦略を立てることによって、採用のミスマッチがなくなり応募数の増加が期待できます。採用対象を見直したり、会社の強みを明確にし打ち出し方を工夫したりすると、希望する人材を確保できる可能性が高まるでしょう。
そこでこの記事では、建設業における具体的な採用戦略や採用戦略のポイントについて説明します。また、採用活動と並行して行うべきことも紹介するので参考にしてください。
建設業における具体的な採用戦略
採用戦略を立てることにより人材不足が解消でき、事業を拡大できる可能性があります。例えば、以下のような採用戦略が考えられます。
IターンやUターン希望者を積極採用する
地方の中小企業の場合、全国規模で求人活動を行い知名度がある大手企業と戦っても負けてしまう恐れがあります。このような場合は、移住者やIターンやUターンを希望する人たちを積極採用する戦略が考えられます。
地元や地域へのこだわりをメッセージとして伝えることにより、同じ想いを抱く応募者を集められるでしょう。また、エリアを限定し地方に強い求人サイトなど媒体を絞れば、コストの削減も可能です。
女性を積極採用する
人材不足が大きな課題となっている建設業では、女性の採用が積極的に行われるようになってきています。男性に限定せず女性も募集することによって応募者数を拡大できます。
女性を採用する際は、子育て中の女性でも働きやすい勤務時間の設定や女性用の待機所・トイレの設置など、環境整備も必要です。初期投資がかかる可能性がありますが、高いコミュニケーション能力や細かい点に気付けるといった女性の強みが加わり、事業の活性化も期待できるため、メリットは大きいでしょう。
研修制度を充実させる
建設業は、先輩について現場で仕事を覚えるOJTが多い業界です。しかし、実際は人手不足や時間的な余裕がなく、教育が不充分になるケースもあります。そこで、社外機関と連携して新入社員研修を行うなど研修制度を充実させたり、キャリアアップできる環境を整えることによって、他社と差別化を図れる可能性があります。
研修制度が充実していることがわかり、入社後の不安がなくなる応募者もいるでしょう。働くイメージがしやすくなり、興味を持つ応募者の増加が期待できます。
また、働きやすい環境作りを積極的に行う企業であることもアピールできます。
学校訪問やインターンシップの受け入れを積極的に行う
学校を定期的に訪問し新卒採用のルートを構築し、特定の学校の卒業者にターゲットを絞って採用する方法もあります。
学校訪問では、学校側に企業PRや求人情報を提供することになります。自社以外の企業も行っていることを考えると「ここで働きたい」と思わせる強いブランディングが必要となり、簡単ではありません。しかし、学校訪問やインターンシップの受け入れなど積極的に動くことにより、状況を変えられる可能性があります。
ブランディングの内容としては、職人を社内で育てることをコンセプトにしたり、自分たちの手で建築物を作れるようになることを打ち出すことなどが考えられます。また、インターンシップで建築現場を体験させることにより、現場でのやりがいを感じてもらえれば、若手の人材を採用できる可能性があります。
採用戦略を立てる際のポイント
具体的な採用戦略を立てるにあたって、ポイントを4つ紹介します。
- 方向性を決める
- 自社の魅力や強みを知る
- 採用したい人物像を明確にする
- 入社後の環境を整える
それぞれについて解説します。
方向性を決める
まず、経営戦略に沿って方向性を定めます。その際「6W2Hフレームワーク」を用いるのがおすすめです。以下のように項目に沿って定義すると、アクションプランを立てやすくなります。
When(いつ) | 定年退職や産休・育休などの社員の予定、新卒採用の就活時期を確認しスケジュールを立てる |
Where(どこで) | 合同説明会やインターネットなど採用活動を行う場所を検討する |
Who(だれが) | 人事部門や各部門の採用担当者を決定する |
Whom(だれに) | 採用したい人物像を明確にする |
What(なにを) | 人材採用により解消できる問題を確認する |
Why(なぜ) | 人材採用を行う目的を整理する |
How(どのように) | 社員の人脈から紹介してもらうなど方法を検討する |
How much(いくらで)/ How many(どのくらい) | 採用活動にかかる工数や費用を確認する |
自社の魅力や強みを知る
建築業界では施工管理は需要が高いため、優秀な人材は他の企業との取り合いになります。希望する人材を採用するためには、仕事内容、給与や雇用条件、福利厚生などにおいて自社の魅力や強みを知ることが必要です。具体的な方法として以下の2つのフレームワークを紹介します。
- 3C分析
- SWOT分析
3C分析とは、Customer(市場)、Competitor(競合)、Company(自社)の項目を分析するフレームワークです。競合の求人情報などを確認し、他社にあり自社にないもの、自社にあり他社にないものを把握しましょう。
SWOT分析とは、Strength(強み)、Weekness(弱み)、Opportunity(市場機会)、Threat(驚異)の4項目に沿って、自社を分析するフレームワークです。3C分析と合わせて行い、現状を把握するとともに自社の魅力を明確にしましょう。
採用したい人物像を明確にする
内定取り消しやミスマッチを防ぐために、採用したい人物像を明確にすることは大切です。理想の人物像を明確にするために、ペルソナを立てることをおすすめします。
ペルソナを立てる際は、求める経験やスキルに加え、採用したい人の価値観や生活環境、悩み・課題を具体的に定義していきましょう。それによって、状況やニーズが把握しやすくなり、適切なアプローチ方法を選択できるようになります。自社に入社後何をしていきたいかなども設定しておくことにより、求職者へのアピールポイントが明確になります。また、面接時の質問や確認事項が明確になり、評価もしやすくなるでしょう。社風や経営戦略に合う人材かを見極めやすくなります。
新卒採用と中途採用を同時に行う場合は、複数のペルソナを立てるとよいでしょう。新卒採用では幹部候補として育成していく人材、中途採用では即戦力となる人材、というように、新卒採用と中途採用ではペルソナが異なるはずです。
入社後の環境を整える
採用後、長期的に自社で活躍してもらうためには、入社後のフォロー体制を準備しておくことも大切です。
具体的には、研修制度を整える、悩みを相談できる窓口を作る、産休・育休制度を整えることなどが考えられます。また、賃金の検討や福利厚生を充実させるなど、長期的な計画も必要になってくるでしょう。入社後の定着率を上げ、離職率を下げる工夫を継続していくことが求められます。
採用活動と並行して行うべきこと
人材不足という課題においては、新規で人材を採用する他に、生産性の向上を推進することにより足りないリソースを補える可能性があります。採用活動と並行して、生産性向上に向けた取り組みを行うことをおすすめします。労働環境の改善に向けた積極的な姿勢は、求職者へのアピールにもなるでしょう。
具体的な方法としては以下が考えられます。
- システムの導入
- 作業ロボットの導入
- 社外サービスの利用
建設業は、図面や工程表など紙資料も多く、連絡手段として電話やFAXを使っていることも多い業界です。また、就業者の36%が55歳以上と高齢化が進んでいることもあり、IT化が遅れていると言われています。
しかし、直感的に操作方法がわかる操作性の高いシステムもあり、システムに馴染みのない世代の多い現場でもうまく利用することによって、コミュニケーションや業務の効率化を目指せます。また、鉄筋の組み立てや溶接などを行うロボットを導入することにより、建設作業を省
人化させることも可能です。
配管加工や図面作成など社外サービスを利用すれば、現場作業や段取りの調整などにリソース
を集められます。専門サービスに依頼することになるため、精度を上げることができ品質の安定化と向上も見込めます。
まとめ:人材不足の建設業において採用活動を成功させるには綿密な戦略が必須
建設業は就業者の高齢化が進み技術継承ができないなど、人材不足の問題が深刻化しています。長時間労働や賃金の低さなどを問題視し、国としても国土交通省直轄工事においてモデル工事が実施されるなどさまざまな取り組みが行われていますが、各企業においても戦略的に採用活動を行い、必要な人材を確保していく必要があるでしょう。
また、労働環境の改善にもつながる生産性向上のために、システムの導入や社外サービスの利用を検討することも大切です。
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