グルービング加工とは?3つメリットと加工機の特徴を解説
配管設備は天井や床下、壁の裏側、屋根裏などさまざまな場所に設置されているため、一般的な現場に比べ、施工時の事故や怪我のリスクが高いと言われています。しかし近年では、配管の加工にはさまざまな方法が生み出され、リスクはもちろん作業負担も軽減しています。
施行現場の安全性と作業効率を高めた配管の加工方法に、グルービング加工があります。この記事ではグルービング加工の加工法やメリットなどを紹介します。
グルービング加工とは?
グルービング加工とは、パイプの端から16mmの箇所に8.7mm幅の溝を作る技術です。
グルービングという言葉には「路面に合わせてタイヤに溝を加工する」という意味があり、グルービング工法と呼ばれることもあります。グルービング加工を施した配管は、ハウジング形管継手を使用して接合します。
ハウジング形管継手
ハウジング形管継手とは、グルービング加工を施したパイプ2本を接合するのに使用する継手です。グルービング加工が済んだ管端にガスケット(パッキン)を装着し、もう1本のパイプと突き合わせます。最後にハウジングを被せてボルトで締めて接合します。ハウジング形管継手は、2つのボルトを締め付けるだけで配管を容易に固定できる施工性の高い継手です。
グルービング加工機の種類と特徴
グルービング加工機とは、パイプを溝加工する機械です。グルービング加工機には、手動ポンプ式と自動ポンプ式の2種類があります。ここでは、それぞれの加工機の特徴について紹介します。
手動ポンプ式グルービング加工機
手動でハンドルを押し、ローラーの送り速度を調節するタイプの加工機です。
手動ポンプ式は職人の技量によってパイプが変形する可能性があります。手動で溝を調整し、ハンドルを押して操作するため、送り速度が安定しないことが原因です。送り速度が早くなり過ぎるとパイプの管端がラッパ状に開くことがあります。作業者によって、加工の質にバラツキが発生してしまうため、経験と技術を要します。
自動ポンプ式グルービング加工機
電動ポンプにより、自動でローラーの送り速度を調整できる加工機です。
ローラーの送り速度を自動的に一定に保つため、溝加工の精度が上がり、正確な製品に仕上がります。最新のグルービング加工機には自動調芯機能により可動式のヘッド部が自動的にパイプに倣って動くため、パイプをセットする位置が多少ずれていても加工後の管端がラッパ状になりにくいというメリットがあります。また、作業者の技術力の違いによる加工のムラが少なく、溝の深さや寸法が安定しやすいです。
グルービング加工の3つのメリット
配管の接合には、グルービング加工をはじめ、フランジ加工やネジ切り、溶接などさまざまな工法を使用します。グルービング加工を使用するメリットは次の3点が挙げられます。
- 施工負担の軽減
- リスクの軽減
- コストカット
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
施工負担の軽減
グルービング加工とハウジング形管継手を組み合わせた施工方法を採用することで、現場における配管の施工が効率化します。施工の際、パイプの溝加工部分を突き合わせ、ハウジング形管継手の2点のボルトを締め込むだけで容易に接合ができるからです。
現場で溶接作業をする必要がないため、作業にかかる手間や労力を軽減できます。火器の使用ができない現場にも有効です。
施工が容易なことから、天井や床下など、狭かったり、常に上を向いて作業しなければならなかったり、施工が難しい現場に使用することがしばしばあります。消火栓、スプリンクラー、連結送水管などの消火設備や給水管などが施工例として挙げられます。
リスクの軽減
グルービング配管を伸縮可とう型のハウジング形管継手に繋ぐことで、漏水リスクが減少できます。ハウジング形管継手には伸縮可とう型と固定型があります。伸縮可とう型は、伸び縮み可能で柔軟性があるため、地震などの振動が起こりやすい中高層住宅やビル、温度変化の激しい空調配管などに最適です。
溝加工に不具合があった場合には、施工時に気付きやすいというメリットもあります。ハウジングの両サイドのボルトを締め込む際、左右のバランスが悪いとパッキンの噛み具合が甘くなり、隙間が生じることがあります。隙間は漏水の原因になります。しかし、正確な施工・繋ぎができているか、外観を目視することでわかりやすく判断できるため、漏水リスクを抑えられます。
コストカット
加工や施工にかかるコストをトータルでカットできます。ネジ式配管の場合、加工時のネジ幅の調整や施工時の締め込み作業に高度な技術や負担が伴い、作業コストがかかります。一方、グルービング配管は加工機による負担が少なく、施工も容易に行えます。加工に使用する自動ポンプ式グルービング加工機は、研修後経験を積めばほとんどの人が取り扱えるようになり、製品の質が安定します。
施工にはハウジング形管継手を使い、2点を締め付けるだけで容易に接合できます。一箇所当たりの施工時間や施工性は格段によく、施工の短縮化によるコストカットを実現できます。
配管施工の効率化にはグルービング加工がおすすめ
経年劣化した配管の交換にはグルービング加工配管がおすすめです。グルービング加工配管は施工負担や漏水リスクを軽減し、コストカットにも繋がります。パイプの加工は、自動ポンプ式のグルービング加工機を使うことで加工ミスによる欠陥製品を防ぎ、安定した製品を提供できます。
ボルト2点を締め付けるだけでパイプの接合ができるため、溶接ができない現場や高所作業が伴う現場、狭い現場に適しており、施工の際の事故、怪我のリスクも軽減できます。
三興バルブ継手株式会社では、加工済みの配管資材を現場に直接お届けすることで、スムーズな施工をサポートしています。配管資材のことでお悩みがあれば、お気軽にご相談下さい。