バーリング加工とは何のためにするの?3つのメリットと注意点を解説
現場で使用する金属は、施工しやすいように加工して形成します。それらの加工方法の一つに「バーリング加工」という加工法があります。
この記事では、バーリング加工の概要とメリット、加工時の注意点について紹介します。
バーリング加工とは?
バーリング加工とは、薄い板金やパイプに開けた穴の内側から外側へコマを引き抜き、穴の縁に立ち上がりを作る加工方法です。金属薄板や建築配管、エネルギー供給用のパイプラインなど、さまざまな金属に利用します。
バーリング加工の用途
バーリング加工は、基本的に、ネジ穴や配管経路に分岐が必要な場合に使用します。
例えば、金属薄板にネジ穴を作る場合、バーリング加工によって厚みを確保することができます。金属薄板にネジ穴を作るタップ加工をする際、厚みが足りないことがあります。ネジ山は締結力を確保するための規格があるため、厚みが足りない場合はバーリング加工をし、タップ加工を施すための厚みを確保するのです。
配管経路に分岐が必要な場合にもバーリング加工を利用します。配管に分岐が必要な場合、これまでT字型をしたチーズ継手を使用していましたが、バーリング加工をすればチーズ継手を使用せずに済みます。これにより、衛生面の確保と耐久性アップというメリットが得られます。
衛生面の確保
バーリング加工によって根元が滑らかに仕上がるため、汚れが溜まりにくくなります。バーリング加工をせず、穴を開けた状態のまま溶接すると角が生まれます。角には埃や汚れが溜まりやすいため、腐食の原因になります。バーリング加工を施せば根本の仕上がりが滑らかなため、腐食しにくく、掃除もしやすいです。
耐久性アップ
バーリング加工をすることで加工部分の厚みが増し、耐久性がアップします。先にも述べたように、穴を開けタップ加工する際には厚みが必要になります。バーリング加工は立ち上がりの部分の厚みが増すため、強化につながります。溶接時には突合わせ溶接ができるため、部品のすみ肉同士を合わせずに済み、耐久性が高くなります。
バーリング加工をする3つのメリット
バーリング加工のメリットは次の2つが挙げられます。
- コストカット
- 漏水リスクの低減
この項目では、それぞれについて解説します。
コストカットできる
通常、パイプに分岐が必要な場合にはチーズ継手を使用しますが、施工の際には3箇所の溶接をしなければなりません。ところがバーリング加工の場合、必要な溶接はバーリング加工をした1箇所だけで済み、溶接の手間はもちろん、材料費や加工費も抑えられます。
漏水リスクの低減
溶接箇所が増えると、漏水リスクが上がります。パイプに漏水が発生しやすいのは溶接部です。チーズ継手を使用するには3箇所の溶接が必要になるため、漏水リスクが懸念されます。 バーリング加工なら溶接は1箇所だけで済むため、漏水のリスクも低減できるうえ、耐久力の向上も見込めます。
バーリング加工の注意点
バーリング加工する際は、使用する金属によって仕様が異なるため注意が必要です。
バーリング加工は、ステンレスやSGP菅など、さまざまな金属に使用でき、特に建築設備には有効な技術です。消防認定品として消火設備配管としても使用します。しかし、穴を開ける際に周囲の厚みが薄くなるため、仕様の基準外になることもあります。国交省認定のバーリング加工ができる素材はステンレスのみです。
バーリング加工はコストや作業時間を削減し現場の安全に繋がる
バーリング加工をすることで、材料費や溶接加工費などのコストカットと作業時間の削減が見込めます。また、溶接箇所が減ることにより漏水リスク対策にもなります。ただし、バーリング加工の際には使用する金属によって仕様が異なるため、注意が必要です。
三興バルブ継手株式会社では、加工済みの製品を納品することもできます。技術の高い加工で、お客様をサポートしております。選定や納期など、配管のことでお困りのことがあればぜひ一度ご相談ください。