建設業で人材派遣を利用する方法と人材不足を補う派遣以外のサービス
「時間外労働を削減したい」「即戦力が欲しい」など人材不足に関する悩みを抱え、人材派遣の利用を検討する建設業の事業者は多いでしょう。人材派遣を活用する際は押さえるべきポイントがあります。また、人材派遣ですべての課題が解決されるわけではありません。
ここでは、建設業の人材不足の悩みを解消する方法として、人材派遣を利用する方法とそれ以外のサービスを紹介します。
建設業で人材派遣を利用する方法
建設業界の人材不足を解決する方法として、人材派遣の利用は有効な手段の1つです。人材派遣を利用することには以下のようなメリットがあります。
- ●採用に関する手間が省ける
- ●専門性が高い人材を最短で確保できる
人選やマッチング、面接日程の調整などを依頼できるため、採用に関する手間を省くことができます。また、希望に合う人材を確保できる可能性が高いでしょう。
人材派遣には多くのサービスがあるため、まずはサービスの選定から行います。
人材派遣を選ぶ際のポイント
人材派遣を利用する場合は、建設業への人材派遣の実績が豊富なサービス会社を選ぶとよいでしょう。施工管理やCADオペレーターなど建設業界で活躍できる人材が多く登録されているため、即戦力となることが期待できます。
また、人材派遣には、登録型派遣と紹介予定派遣、常用型派遣があります。どの契約形態にするかを明確にしておきましょう。登録型派遣は、派遣期間が終了すると雇用契約も終了となります。派遣期間は、労働者派遣法により原則として3年と定められています。紹介予定型派遣は、正社員登用を目的とした人材派遣の形態です。常用型派遣は、無期雇用契約を結ぶため3年を超えても継続して働くことができます。
特定期間の労働力を確保したいのか、長く働く人材を雇用したいかによって、選ぶべき派遣形態は異なります。
人材派遣を利用する流れ
利用するサービスを決定した後は、以下のような流れでスタッフの就業がスタートします。
- 問い合わせ・ヒアリング
- 提案(人選・マッチング)
- 契約締結
- スタッフの就業スタート
- 契約更新
まず、会社の事業内容や、派遣スタッフに求めるスキル・経験、業務内容などを伝えてサービス会社とすり合わせを行います。その内容によって、登録スタッフから希望に合う人材の提案を受け、採用を決定します。その後、勤務開始日や派遣期間について確認し、契約を交わします。
勤務開始後、勤務状態のヒアリングを行うなどフォローがあるサービス会社も多くあります。就業状態に問題がなければ契約を更新することも可能です。
建設業で人材派遣を利用する際の注意点
人材派遣の利用にはメリットがある一方、注意点もあります。
業務内容が限定される
建設業務では、建設労働者の安全と雇用を守るために、労働者派遣法4条によって、建設業務の派遣が禁止されています。労働者派遣法において、建設業務とは「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務」と示されています。
具体的な禁止業務は以下の通りです。
- ビル・家屋等の建築現場にて、資材の運搬・組み立て等を行う
- 道路・河川・橋・鉄道・港湾・空港等の開設・修築などの工事現場で掘削・埋め立て・資材の運搬・組み立て等を行う
- 建築・土木工事において、コンクリートを合成したり、建材を加工したりする。建築・土木工事現場での準備作業全般を含む
- 建築・土木工事現場内で資材・機材を配送する
- 壁や天井・床の塗装や補修をする
- 建具類等を壁や天井・床に固定する、あるいは撤去する
- 外壁に電飾版や看板などを設置する、あるいは撤去する
- 建築・土木工事現場内において、配電・配管工事をしたり機器の設置をしたりする
- 建築・土木工事後の現場の整理・清掃(内装仕上げ)をする
- イベントなどを行う大型仮設テントや大型仮設舞台の設置をする
- 仮設住宅(プレハブ住宅等)の組み立てを行う
- 建造物や家屋を解体する
引用元:一般社団法人 日本人材派遣協会
上記のような建設業務の派遣は禁止されているため、人材派遣を利用できる業務は以下に限定されます。
- 現場事務所での事務作業
- CADオペレーター
- 施工管理業務(工程管理・品質管理・安全管理・原価管理など)
属人化しないように注意する
派遣社員は社外リソースであり契約期間が定められています。派遣期間が終了することを考え、作業が属人化しないように注意しなければなりません。マニュアルを作成し、業務内容を明らかにしておくとよいでしょう。
また、派遣社員は自社の従業員と比較すると帰属意識が低い傾向にあります。やりがいを持って業務に当たるよう配慮することも大切です。
例えば、企業理念・ビジョンや目標を共有し役割を明確にする、イベントの開催や経営層との会食をセッティングしてコミュニケーションを活発にするなどの対策が考えられます。
建設・建設設備業で利用できる人材派遣以外のサービス
建設業、そして建設設備業における人材不足を補う方法は、人材派遣の利用以外にもいくつかあります。
特に、空調・電気・水道など建築物に関連する設備全般の工事を行う建設設備業では、いかに効率化を図り生産性を高められるかが重要です。設備工事は建築工事の後に施工が始まるため、建築工事の遅延により作業日数が限られる事態が発生することを常に考慮しておく必要があります。
この項目では、人材派遣以外で、作業負担を軽減し効率を高めることが期待できるサービスを紹介します。
現調代行サービス
建設工事では、事前に場所を確認し調査や測定をする現地調査(現調)が欠かせません。現調代行サービスとは自社に代わって現調を行うサービスで、近年活用する企業が増えています。また、具体的な方法として3Dレーザースキャナーによる現調がおすすめです。
現調を3Dレーザースキャナーで行うメリット
3Dレーザースキャナーとは、対象物にレーザーを照射し3次元の位置情報を取得する機器です。採寸する対象物にレーザーを照射すると、表面が点群として正確に立体化されます。内蔵のデジタルカメラで撮影した写真を元に着色もされるため、複雑な形状でもわかりやすく確認できます。
現調で得られた情報によって図面作成や工事工程の決定が行われるため、現調では正確な情報が求められます。しかし、大規模な現場では寸法測定に時間がかかったり、改修工事では建物や設備の老朽化により状況把握が難しかったりする場合があります。
3Dレーザースキャナーを活用すれば、スピーディに正確な情報を得られるため、以下のようなメリットがあります。
- 人員の省力化
- 作業負担の軽減
7〜10日かかるような現調と図面化を2〜3日程度に短縮でき、人員を削減できます。高所やボイラーの近くなど危険な場所でも安全に計測でき、計測漏れも防げます。また、正確な情報により設計精度が向上するため、打ち合わせもスムーズになり試作品の制作回数を減らせるでしょう。
配管加工サービス
配管加工サービスとは、パイプや継手の亜鉛除去・開先加工など建築設備資材の加工を行うサービスです。
亜鉛メッキが施された継手を溶接するには亜鉛メッキの除去が必要です。亜鉛メッキを除去する方法には、塩酸溶液での溶解、手動工具での切削加工といった方法があります。しかし、これらの方法では手間と時間がかかり、作業員の怪我や中毒症状などを引き起こす危険性があります。
また、溶接において溶接部分を適切な形状に加工する開先加工は、強度や品質に影響を与えるため確かな精度が求められます。
そこで、亜鉛除去や開先加工などの加工は、配管加工サービスの利用がおすすめです。
配管加工サービスを利用するメリット
配管加工サービスに依頼することにより以下のようなメリットが得られます。
- 品質の向上
- 作業時間の短縮
- コストカット
- 作業員の怪我や亜鉛中毒を防ぐ
機械で自動化することにより仕上がりや生産性が安定するため、品質の向上や作業時間の短縮につながります。材料費や加工費が抑えられコストカットも実現可能です。
また、技術を持った作業員が加工を行うため、スキルを要する「バーリング加工」や「グルービング加工」なども依頼できます。これらの加工は溶接部分のトラブルを減らし耐久性を向上させるため、作業時間の削減につながります。専用の機械で金属加工を行うため、作業員の怪我や亜鉛中毒を引き起こすリスクを防げます。
まとめ:建設業で人材不足を補う方法は人材派遣の利用以外にもある
人材派遣サービスを活用することにより、高いスキルを持つ人材をスムーズに確保できることが期待できます。しかし、実務経験があったとしても自社のルールや業務指導の教育は必要です。
現調代行サービスや配管施工サービスの利用では教育コストはかかりません。プロフェッショナルに業務を依頼できるため、効率化を図りながら品質の向上を目指せます。
三興バルブ継手株式会社では、圧倒的な商品供給力による「配管設備資材の販売・納品」だけでなく、「3Dスキャナによる図面作成」や「配管加工」のサービスも展開。経験豊富なスタッフが円滑な現場作りを全力でサポートします。お気軽にお問い合せください。