【建築・建設業】構造計算のやり方を解説!4種類のルートや流れも
建物の安全性を確認する際には、構造計算を行います。建築・建設業において構造計算は主要な業務とされていますが、住宅やマンション、オフィスビルなど建物の種類はさまざまです。そのため、全てのやり方を把握している人は多くないでしょう。
この記事では、構造計算の4種類のルートや、やり方などを紹介します。
構造計算とは
構造計算は、人々が建物内で安全に過ごすに当たって必要不可欠なものです。耐震性や強度を十分に備えているのかどうかを4つの計算方法(ルート)を用いて算出します。建物をデザインする構造設計を証明する方法の1つで、建物自体や積雪、設備・家具などの重量に耐えられるのか、地震や暴風などの際に安全できるのか、各構造部を計算します。
基礎・基礎杭、柱、壁、小屋組、土台、斜材、床版、屋根版、横架材など、構造耐力上主要な部分の計算は、建物を安全に設計するために特に重要です。建物が傾いたり、床が抜けたりしないように構造計算することで安全性を担保します。
建築確認申請時に構造計算書が必要・不必要な建物の種類
建築基準法では、原則全ての建築物に対して工事着手前の建築確認や工事完了後の完了検査などの手続きを設けています。ただし、都市計画区域等の区域外において一定規模以下の建築物は、 建築確認・検査の対象ではありません。
令和4年の建築基準法の改正では、小規模な伝統的木造建築物等について、構造設計一級建築士が設計又は確認を行い、専門的知識を有する建築主事などが建築確認審査を行う場合は、構造計算適合性判定を不要とされました。
改正前は、階数2以下、延べ面積500㎡以下の木造建築物は基本的に建築確認の対象外でしたが、改正後は平家かつ延べ面積200㎡以下の建築物以外の建築物は、構造によらず、構造規定等 の審査が必要になりました。
構造計算の4種類のルート
構造計算のルートとは、計算方法を指します。建築基準法に沿って構造計算を行い、基準に適合しているのかを建築主事や指定確認検査機関に提出して確認します。
建築基準法で定められた構造計算のルートは4種類です。
- ルート1.許容応力度計算
- ルート2.許容応力度等計算
- ルート3.保有水平耐力計算
- ルート4.限界耐力計算
それぞれについて解説します。
ルート1.許容応力度計算
建築構造物自体の重量のほか、建物にかかる人や物の重量、地震・暴風などの自然災害に耐えられるのかを計算する方法です。
国都交通省の建築物の構造計算法に該当する建築物は、許容応力度計算を行い、安全性の確認をするように定められており、中層建築物、低層建築物などの中規模建築構造物を対象とします。
構造物が支持する荷重や地震などの外部力により生ずる各応力度が、使用する構造材料により定められた許容応力度を超えないことを確かめます。材料の強度は、設計規格に基づき、構造材料が弾性域内で安全に耐えられる許容応力度の上限を示します。
設計寸法の決定:許容応力度と設計荷重から部材の断面寸法や寸法を決定する際、特定の部材寸法が規格やコードに適用しているか注意が必要です。材料や部材の強度に余裕を持たせることで、予測外の荷重変動や耐久性の向上に対応できます。
ルート2.許容応力度等計算
許容応力度等計算は、建築物の部材にかかる力を計算する許容応力度計算に加えて、地震や暴風によって生じる変形量を計算します。
例えば、地震や台風が発生した際に建物がどの程度傾くのかを計算する層間変形の計算、建物の上下階の剛性、およびバランスを調べる剛性率・偏心率の計算など、2次設計を合わせた計算です。
部材にひずみが発生した場合でも、建物自体を倒壊させないために役立ちます。
ルート3.保有水平耐力計算
保有水平耐力計算は、地震が生じた場合に建物が崩れずに耐えられるのか、各階の必要保有水平耐力を計算します。ルート2の許容応力度等計とは、適用する規模や範囲が違います。
ルート2はルート1とルート3の中間的な建物、および比較的整形でバランスの良い建物に適用するのに対して、ルート3は主に大規模建築構造物などに用いられますが、中規模建築構造物でも任意で活用できます。加えて、不整形な建物や、バランスの悪い建物にも適用できます。
保有水平耐力計算を活用した設計によって、建物の変形性能を向上し、地震エネルギーを吸収できます。
ルート4.限界耐力計算
限界耐力計算は、許容応力度等計算を行った後にさらに細かい計算をすることで、損傷限界耐力等を求める計算方法です。
許容応力度等計算と同様、地震や暴風、積雪などに対しての安全性を検討する計算方法ですが、その中でも稀に発生する大規模な災害時に対する必要な耐力を明確にする際に活用するため、耐久性等に関する規定以外の仕様規定を適用する必要がありません。
積雪や暴風、地震などによる大規模な外力に対して、建物が崩壊しないことを確認するほか、変形量を算出して建築物の固有周期、減衰性などを算出します。それに加えて、建築物の高さ方向に対しての変形を考慮し、加速度を算定します。
構造計算のやり方と計算方法の分類
構造計算のやり方は、建築物の特徴に応じて異なります。建築基準法20条において、建築物は自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、規定の建築物の区分に応じて、それぞれ基準に適合するものでなければならないと定められています。
令和4年に国土交通省によって分布された改正建築基準法のうち、木造建築物の構造計算に関連する建築基準法の改正予定内容は以下をご覧ください。
現状では、高さ13mまたは軒高9mを超える木造建築物を建築する場合、許容応力度等計算など高度な構造計算により、構造安全性を確認する必要があり、一級建築士でなければ設計、工事監理をしてはなりません。
しかし、近年の建築物の断熱性向上などによって、階高を高くした建築物のニーズが高まっているため、一定の耐火性能が求められる木造建築物の規模については、高度な構造計算までは求めず、二級建築士においても設計できる簡易な構造計算(許容応力度計算)で建築できる範囲を拡大されました。
建物に応じた構造計算のやり方を理解しよう
構造計算は、建物の安全性を確保するための計算方法であり、建築物の設計や耐久性の検証の際には適切なやり方を選定する必要があります。地震や暴風などの災害時の安定性を確保するためにも、構造計算のやり方をそれぞれ理解しておきましょう。
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