配管ジャーナルPiping Journal

改めて聞きたい配管基礎知識

ストップバルブとゲートバルブの違いを徹底解説

配管内を通る流体を流したり止めたり、あるいは流量や方向などを調節するバルブには、目的や構造の違いによってさまざまな種類があります。

ストップバルブとゲートバルブは対応する圧力や温度の幅も広いことにより、いずれもよく用いられるバルブです。どちらもハンドルがついており、弁体をハンドルで動かす仕組みは似ていますが、特徴や用途は異なります。

流体の流量を調節できるのがストップバルブ、流量調整には使用せず流れのONとOFF機能を持つのがゲートバルブです。

この記事ではストップバルブとゲートバルブのそれぞれの特徴、違いについてさらに詳しく解説します。

流量調節が得意なストップバルブ

ストップバルブは、配管を通る流体の流れを止める(ストップする)性能が高いことからついた名称です。また、バルブ本体のボディ部分が丸みを帯びていることから「玉形弁(たまがたべん)」や、球体という意味を持つ英語のglobeから「グローブ弁」とも呼ばれます。

構造の特徴

バルブ本体のボディが丸く、通過する流体の入口と出口が直線状にあり、ボディ内の流路がS字を描くようになっています。ハンドルを回してボディ内のS字のくびれ箇所に弁体を上げたり下ろしたりして、流路の上から蓋をするように開閉します。

ハンドルを回して弁体を上下させるため、流路をすばやく開放あるいは閉鎖することができません。

他のバルブとの比較

ストップバルブは圧力や流量の調節に優れたバルブで、同じような機能を持つバルブにはバタフライバルブがあります。

バタフライバルブは円盤の弁体を持ち、弁体が90度に動くことにより流体を制御する構造です。流路が複雑なゲートバルブと比較するとシンプルな構造になっています。軽量でコンパクトな形状で、流体の流れの勢いが弱まりにくいという特徴があります。設置スペースが小さくて済むため、狭い箇所でも用いることができます。また、バルブを開閉する操作力(開閉トルク)が小さくて済みます。

ただし、素材によって対応する温度や圧力の範囲が限られ、弁体が磨耗する可能性があります。また、流量の微調整機能はストップバルブに劣ることがあるため、配置する環境や流体の特徴、必要な流量調整の度合いによってはストップバルブが適しているといえます。

施工時の注意点

ストップバルブは他のバルブと比較して入口と出口までの面間寸法が大きいため、小さいバルブと比較すると施工が難しく、点検や修繕の際にも十分なスペースを確保しておく必要があります。

また、全閉の際は流体の圧力を弁体で受けているため、弁体を持ち上げて開放する際には操作力が必要です。

流れのONOFF機能を持つゲートバルブ

ゲートバルブは、バルブを閉める操作で流路の上部から板状の弁体が下がり、流体を止める構造を持ちます。門(gate)を閉めるような仕組みであることからゲートバルブやゲート弁と呼ばれます。また、弁体で流路を仕切る構造から「仕切弁」とも呼ばれます。

ゲートバルブはボディや弁体の形状の違いより種類が豊富です。流路を垂直に仕切る「ウェッジ仕切弁」、弁体を2つ持つ「パラレルスライド弁」、流路の中心部分で絞る「ベンチュリポート仕切弁」などがあります。

構造の特徴

ハンドルを回して弁体を動かし、全開あるいは全閉にします。弁体を下ろしたり上げたりするのに、サイズが大きくなるほど多くのハンドル回転数を要し、急速な開閉には不向きです。

流体をしっかり止めたり勢いよく排出したりする配管箇所に用いられます。

他のバルブと比較

ゲートバルブと同じような用途で用いられるバルブに、ボールバルブがあります。ボールバルブは穴の開いた球体の弁体を持ちます。ハンドル操作で弁体を配管方向に向けると全開になり、90度回転させて穴の向きを変えることにより流体を止めます。

ボールバルブもゲートバルブと同様、全開あるいは全閉で用いられます。流れを止める機能は同じですが、ハンドルを90度に回すだけで瞬時に流れを止められます。ゲートバルブはハンドルを回して弁体を全開あるいは全閉しなければならないため、短時間で流れを止めたい場合はボールバルブが適しています。

しかし、ボールバルブは口径が大きくなるほど操作力(開閉トルク)が必要となるため、大口径の配管箇所では、ゲートバルブが適しているといえます。

施工時の注意点

設置箇所には、ハンドルと弁体の移動距離を確保するためのスペースが必要です。また、全開または全閉で使用するように設計されているため、弁体を途中までしか下ろさない状態で使用すると弁体が損傷する恐れがあるため注意が必要です。

ストップバルブとゲートバルブを比較して違いを確認

ストップバルブとゲートバルブは、弁体を上下に動かす構造や、温度と圧力の対応範囲が広いといった共通点があります。一方で以下のような違いがあります。

 

ストップバルブ

ゲートバルブ

中間開度の使用

適している

適していない

全開になった際の弁体

流路に残る

流路に残らない

流体の流れ

S字状

直線状

全開時の流体の流れやすさ

圧力損失が大きく流れにくい

圧力損失が小さく流れやすい

開閉時の注意点

開閉に大きな操作力が必要

急速な開閉には不向き

上記により、以下の点において大きな違いが見られます。

流量調節

ストップバルブは、ハンドルを微調整して中間開度で使用できるため、流量を調節したい場合に用いられます。ハンドルの回転数によって流量を細かく微調整することが可能で、流量調節の性能に優れています。

身近な例として、ハンドルをひねって水量を調節する水道の蛇口は、ストップバルブの構造を持つバルブの1つです。

一方ゲートバルブは、流量調節では使用されません。弁体を半分おろす中間開度で使用すると、弁体に流体がぶつかることによる振動(チャタリング)が起こります。チャタリングによって弁体が損傷し流体が漏れてしまう恐れがあるため、全開か全閉の状態で使用します。

圧力損失

圧力損失は流体の流れやすさを表し、圧力損失が大きいほど流体の勢いが弱まります。

ストップバルブは流体が通る流路がボディ内でS字になっているため、流れの方向が変わり流路が拡大したり縮小したりします。そのため、圧力損失が大きく、流体を勢いよく排出したい場合には適していません。ストップバルブは、流体の勢いが弱くなっても問題にならない箇所で用いる必要があります。また、ストップバルブを選定する際は、圧力損失も考慮して流体の圧力を決めなければなりません。

一方ゲートバルブは、ボディ内の流路が真っ直ぐなため圧力損失が少ないバルブです。そのため、流体を勢いよく流したり、しっかり止めたりする性能に優れています。流体を常に流し続け、点検などの際にだけ流体を遮断する必要があるような配管箇所で用いられます。

まとめ:バルブの特徴を知って適切なバルブを選定しよう

配管設備で大切な役割を担うバルブを用いる際は、それぞれの特徴を理解して選定することが大切です。目的や場所を確認し、流量や圧力に適したバルブを使用することで、配管の損傷を防ぐことにもつながります。

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配管資材専門店VALVIA(バルビア)