配管ジャーナルPiping Journal

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スリースバルブとゲートバルブの違いとは?仕組みや構造から確認

配管工事に欠かせないバルブにはさまざまな種類があります。「スリースバルブ」や「ゲートバルブ」はよく聞くバルブの名称でしょう。この2つについて違いがわからないと混乱するケースがあるかもしれませんが、2つは同じバルブです。

バルブの名称はその形状や構造が由来となっているものが多くあります。そのため、それぞれの形状や構造を理解すると覚えやすいでしょう。

そこでこの記事では、ゲート(スリース)バルブについて詳細を確認し、ゲートバルブ以外のバルブについても、形状や構造を確認しながらそれぞれの呼び名を紹介します。

スリースバルブとはゲートバルブのこと

水門を意味する英語には「sluice」や「gate」がありますが、水門のように弁体を流路から持ち上げて開くバルブは、スリース(スルース)バルブやゲートバルブ、ゲート弁などと呼ばれます。また、流体の流れを弁体で仕切る構造から「仕切弁」と呼ばれることもあります。

現場によっては、口径サイズや用途によって呼び分けている場合がありますが、構造は同じです。

ゲート(スリース)バルブの構造と仕組み

ゲートバルブは以下のような部品で成り立っています。

  • 弁箱(本体、ボディ):バルブの本体で配管との接合部分
  • 弁体(ディスク、プラグ、ゲート):流量を調整する部品
  • 弁座(シート):弁体が全閉になっている際、弁体を受ける部品
  • 弁棒(ステム):開閉操作で弁体を上下させる部品
  • ハンドル:バルブを操作する取手

ボディについているハンドルを回して弁棒を上下させることによって弁体を上下させ、流路を開放したり閉鎖したりします。それによって流体を制御する仕組みです。

ゲート(スリース)バルブの特徴

ここでは、ゲートバルブの主な特徴を解説します。

圧力損失が少ない

バルブには、グローブバルブのようにボディ内の流路がS字状になるものがありますが、ゲートバルブは流路が真っ直ぐなため、流体の流れやすさを表す圧力損失が少ないバルブです。そのため、流体を勢いよく流したりしっかり止めたりする性能に優れています。

点検などの際は流れを完全に止める必要があるものの、通常は流体を常に流し続けるような配管箇所で用いられます。

全開・全閉で用いられる

ゲートバルブは、弁体を全開または全閉で使用するように設計されていて、全開にして流体を勢いよく流すか、完全に閉め切って流体の流れを止める目的で使用されます。

弁体を途中までしか下ろさない中間開度で使用すると、弁体に流体がぶつかることによる振動(チャタリング)が起こります。チャタリングによって弁体が損傷し流体が漏れてしまう恐れがあるため、流量調節では使用しません。

なお、全開あるいは全閉にするには多くのハンドル回転数を要するため、急速な開閉には不向きです。

ゲート(スリース)バルブの操作方法と注意点

ゲートバルブは構造がシンプルで、操作も簡単です。通常は反時計回りに回すと開き、時計回りに回すと閉まります。ハンドルを回し続けることで全開あるいは全閉にします。そのため、設置箇所には、ハンドルを回転させて弁体を全開にできるだけのスペース確保が必要です。

ハンドルをキツく絞めすぎてしまうと、ハンドルとパッキンの接触部分が固着してハンドルが回せなくなる可能性があります。そのため、限界まで回さないように注意し、回した後に少し戻し遊びを持たせておくとよいでしょう。

また、長期間操作されない場合も固着する恐れがあるため、定期的なメンテナンスを行い、必要に応じてゲートバルブを交換しましょう。

ゲートバルブ以外のバルブを確認

バルブにはゲートバルブ以外にも以下のようにさまざまなバルブがあります。

  • グローブバルブ
  • チェックバルブ
  • バタフライバルブ
  • ボールバルブ
  • ダイヤフラムバルブ

中にはゲートバルブと同じように複数の呼び名を持つバルブもあるので、それぞれについて確認していきます。

グローブバルブ

グローブバルブは、バルブ本体のボディ部分が丸みを帯びているバルブです。その形状から英語の球体を意味する「globe」が由来となっており、「グローブ弁」や「玉形弁(たまがたべん)」とも呼ばれます。また、配管を通る流体の流れを止める(ストップする)性能が高いことから「ストップバルブ」とも呼ばれます。

チェックバルブ

チェックバルブは、流体の流れを常に一定方向に保って逆流を防止する目的で使われます。

せき止めるという意味の英語「check」より「チェックバルブ」あるいはチャッキバルブと呼ばれます。また、逆流すると内部でボディのシートに密着して逆流を防止するため「逆止め弁」や「逆流防止弁」とも呼ばれることがあります。

流体が流れる圧力で自然に弁体が開閉する仕組みです。

チャックバルブは構造の違いにより以下の種類があることも知っておくとよいでしょう。

  • スイング式
  • リフト式
  • スモレンスキ式
  • ウエハー式(デュアルプレート式)
  • ボール式

バタフライバルブ

バタフライバルブは「バタ弁」や「蝶弁」とも呼ばれます。円盤状の弁体が90度回転して流体の流れを制御する構造で、その様子が蝶のようであることが名称の由来です。ゲートバルブやグローブバルブと比較すると、軽量でコンパクトなうえ低コストなバルブです。

ボールバルブ

ボールバルブは、弁体が穴のあいたボール状のバルブで「ボール弁」とも呼ばれます。バルブの取手と穴の開いたボールが直結しており、取手を回すことでボールが回転します。穴の開いた面が配管に向けられると流体が流れ、90度回転させると流れが遮断されます。

ダイヤフラムバルブ

「Diaphragm(ダイヤフラム)」には隔膜という意味があり、弁体を柔らかい膜であるダイヤフラムにくっつけたり離したりして開閉します。ダイヤフラムの材料にはフッ素樹脂やゴムなどの弾性のあるものが用いられ、気密性が高いため、腐食しやすい流体にも使用できる一方、高圧力下での使用には不向きです。

まとめ:バルブの形状や構造から特徴を把握しよう

配管同士をつなぐバルブには多くの種類がある。流体を制御する役割は同じですが、弁体の形状や機能、構造によっていくつかに分類されます。中には呼び名を複数持つものもありますが、ボディや弁体の形状、構造が由来になっていることが多く、それぞれのバルブの特徴を理解すると覚えやすいでしょう。

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