ポンプ使用時の騒音の原因と解決方法を紹介
ポンプが原因で騒音が起こっているときは、いち早く原因を特定して解決することが求められます。
この記事では、ポンプ使用時に生じる騒音の種類を元に、現地調査の手順、騒音の種類を特定するために確認すべき事項、対策案を紹介します。
ポンプが原因で建物に生じる騒音の種類
振動・騒音を解決するには、原因究明が重要です。振動によって生じる騒音には次の3種類があります。
- 固体伝搬音
- 空気伝搬音
- 脈動音
それぞれについて解説します。
固体伝搬音
固体伝搬音は、ポンプ本体の振動が伝搬されたスラブや壁などを振動させることで放出される音です。配管では、ポンプの振動が配管を伝搬し配管を支持しているスラブや壁などを振動させて音を放出します。
空気伝搬音
空気伝搬音は、音源から放出された音が空気中を伝わっていく音です。ポンプの場合、音源であるポンプから直接放出されます。
脈動音
脈動が原因で生じる騒音を脈動音と呼んでいます。脈動音は、配管から直接放射される場合や、躯体貫通部等から固体伝搬音となり躯体より放射される場合があります。
ポンプの脈動とは
この項目では、ポンプの脈動が発生する理由と、脈動と管路の関係について解説します。
ポンプによる脈動が発生する理由
渦巻ポンプなどでは、ポンプのケーシング内を羽根車が回転することで、水が送り出されます。羽枚数×ポンプの回転数により周波数の圧力変動が生じ、水中を疎密波(音波)として伝わります。これがポンプで発生する脈動です。脈動の周波数は以下の公式で求めることができます。
脈動周波数(Hz)=羽枚数×ポンプの回転数(rpm)÷60(sec)
脈動と管路の関係
脈動が必ず騒音問題になるとは限りません。脈動が問題になるのは配管中の流体に伝わる脈動波に、共振現象が起きた場合です。
共振現象というのは、ポンプの位置に脈動定在波の「腹」がきた場合に発生し、その時、管路内の脈動は大きく増幅されます。共振現象が起きるかどうかは脈動定在波の分布(「節」と「腹」の位置)によって決まりますが、一般の配管系で分布を予測することは不可能です。
また、脈動音は配管系のどの場所でも発生する可能性があり、ポンプから離れた思いがけない場所で騒音が発生することもしばしばあります。
振動を抑えるための現地調査の手順
ポンプ使用時の振動・騒音問題を解決するには、現地調査が必須です。この項目では現地調査をする際の手順を解説します。
- 振動・騒音の原因を特定する
- 伝搬経路を確認する
① 振動・騒音の原因を特定する
床や壁に耳を当てると聞こえる場合は固体伝搬音、窓や扉に耳を近づけると聞こえる場合は空気伝搬音である可能性が高いです。
ポンプ室、配管、騒音が発生している場所の位置関係から特定する方法もあります。振動は発生源から遠く離れるほど減衰します。ポンプ室から離れた場所で振動・騒音が発生している場合、固体伝搬音と空気伝搬音の可能性は低く、脈動音の可能性が高いと判断できます。
② 伝搬経路を確認する
伝搬経路を確認する方法には、手を叩く、ポンプ基礎や配管を叩くという2つの方法があります。
騒音問題のある場所において、発生源である空間で手を叩いて音を出し、その音が確認できる場合は空気伝搬音である可能性が高いです。一方、ポンプ基礎や配管を叩いて音が聞こえる場合は、固定伝搬音である可能性が高いです。
2つの方法を試してみていずれも該当しない場合は、脈動が原因である可能性が高いと判断できます。
騒音の発生場所と種類別の確認事項と対策案
騒音の発生場所や種類によって、対策方法が異なります。この項目では、発生場所と騒音の種類別に、さらに詳細に確認すべきことを紹介します。
ポンプ基礎からの固体伝搬音の場合
ポンプ基礎からの固体伝搬音の場合、以下3点について確認します。
- 防振架台はついているか
- 防振架台は正常に設置されているか
- 防振架台と耐震ストッパー部が接触していないか
ポンプ基礎からの固体伝搬音の対策案
ポンプ基礎からの固体伝搬音の場合、以下のような対策案があります。
- 防振架台がついていない場合は防振架台を設置する
- 防振架台の耐震ストッパー部が接触している場合、隙間を適切な間隔に調整する
配管からの固体伝搬音の場合
配管からの固体伝搬音の場合、以下2点について確認します。
- 配管の吊りや支持部は防振処理(躯体との縁切り)がされているか
- 配管の壁やスラブの貫通部は防振処理(躯体と切り離されているか)されているか
配管からの固体伝搬音の対策案
配管からの固体伝搬音の場合、以下のような対策案があります。
- 吊防振の設置、貫通部の防振処理をする
空気伝搬音の場合
空気伝搬音の場合、以下の2点について確認します。
- ポンプ室に窓があるか
- ドアにガラリがついていないか
空気伝搬音(ポンプの運転音)の対策案
空気伝搬音(ポンプの運転音)の場合、以下のような対策案があります。
- ポンプにカバーをする
- ポンプ室の遮音・吸音処理を行う
脈動音の場合
脈動音の場合、以下の2点について確認します。
- パイプサイレンサーはついているか
- 脈動周波数と一致しているか
脈動音の対策案
脈動音の場合、以下のような対策案があります。
- パイプサイレンサーの設置
騒音対策のための現地調査でよくある質問
この項目では、騒音対策のための現地調査を実施時に寄せられる質問のうち多いものを3つ挙げて解説します。
Q:ポンプ室・配管から部屋までの距離が離れている場合は?
A:脈動音の可能性が高いです。
ポンプから床や配管を伝搬する振動や空気に伝わる騒音は、遠く離れるほど減衰します。そのため、ポンプから遠く離れた部屋の場合、固定伝搬音と空気伝搬音の可能性は低いと言えます。
Q:ポンプから対象の部屋までの距離が近い場合は?
A:部屋のどこから音が聞こえるかを確認し、騒音の種類を見極めましょう。
- 床に耳を当てると聞こえる場合:床からの固体伝搬音か脈動音の可能性がある。
- 壁に耳を当てると聞こえる場合:壁からの固体伝搬音か脈動音の可能性がある。
- 窓や扉に耳を近づけると聞こえる:空気伝搬音か脈動音の可能性がある。
- 配管に近づくと聞こえる:脈動音の可能性がある
Q:伝搬経路を確認する方法は?
A:伝搬経路の確認方法には主に以下の3つがあります。
- ポンプが設置してある基礎をプラスチックハンマーでたたく
- 配管をたたく
- 手をたたくなど大きな音を出す
ポンプが設置してある基礎をプラスチックハンマーでたたく
騒音がある場所で音が聞こえる場合、ポンプ基礎からの固体伝搬音の可能性があります。
配管をたたく
騒音のある場所で配管をたたく音が聞こえる場合、配管からの固体伝搬音の可能性があります。
手をたたくなど大きな音を出す
騒音のある場所でこれらの音が聞こえる場合、空気伝搬音の可能性があります。
上記のいずれでもない場合、脈動音の可能性があります。
まとめ:ポンプや配管の振動による騒音対策は配管資材のプロに相談を
脈動による振動は、騒音を起こすだけでなく、配管や接合部へ影響を与えることも少なくありません。騒音対策を実施するために最適な資材を選ぶなら、配管資材のプロに相談しましょう。
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記事制作協力:倉敷化工株式会社