加圧給水ユニットのしくみとエラー対応まとめ
マンションなどの集合住宅ではさまざまな給水設備が使用されています。中でも加圧給水ユニットは、各フロアへの配水を行う上で重要な役割を果たします。しかし、毎日の給水は設備への負担も大きくなり、トラブルも生じやすくなります。
加圧給水ユニットの設置や修理時は、仕組みやトラブル、設備の耐用年数を熟知し、対応することが求められます。この記事では加圧給水ユニットについてまとめています。設置や修理時などに活用してください。
加圧給水ユニットの仕組み
加圧給水ユニットの構成や仕組みなど、概要について説明します。
加圧給水ユニットの構成
一度受水槽に貯めた水を加圧してマンションに給水する装置のことを加圧給水ポンプといい、受水槽方式と呼ばれます。(古い建物だと高架水槽方式) 加圧給水ユニットとは、加圧した水をマンションなどの集合住宅の各フロアへ水を供給する設備の総称です。
似たような名称で直結増圧給水ポンプ(通称:増圧ポンプ・ブースタポンプなど)がありますが、加圧給水ポンプとは給水方式が異なります。詳細は別の記事で解説しています。
加圧給水ユニットは、ポンプ本体・圧力タンク・制御装置などから構成されます。ユニット、ポンプ、電磁開閉器、制御盤、逆止弁、減圧弁、圧力タンク、圧力スイッチ、圧力センサー、フロースイッチ、インバータなどが使われており、さまざまなパーツで複雑に構成されています。
加圧給水ユニットの運転方法
運転方法により、主に「単独運転」「単独交互運転」「並列交互運転」の3種類に分けられます。さらに制御方式により、「定圧給水方式」「インバーター方式」の2種類に区別されます。
それぞれ運転方法は以下の通りです。
- 単独運転
1台のポンプ本体を使用し、圧力や流量検出により運転有無の切り替えができます。家庭で使用されるポンプを加圧給水装置に使用した場合、この方法に属します。
- 単独交互運転
2台のポンプ本体を交代で運転させます。片側1台のみ修理している場合など、もう1台だけで単独自動運転も可能というメリットがあります。水の給水を一時的にでも止められないマンションや工場などで効果的です。
- 並列交互運転
通常は交互運転ですが、使用水量が増えた場合に2台同時運転します。水を多く使用する工場や、同じ時間帯に使用水量の上がる可能性のあるマンション等の現場に使用されます。
加圧給水ユニットの耐用年数
加圧給水ユニットの耐用年数は、一般的には10~15年と言われています。加圧給水ユニットは多くの部品から構成されており、部品によってそれぞれ耐用年数が異なります。
シールやパッキンなどの消耗品は耐用年数は1年とされ、逆止弁・減圧弁は3年、基板や圧力センサーは5年と、パーツによって差があります。異常が出た場合には点検により部品の交換などの対応ができますが、ひとつひとつの部品の摩耗などは異常が出ない限り把握が難しいです。
加圧給水ユニットそのものの交換のタイミングは、モーターを含むポンプ本体が故障した時です。単独交互運転や並列交互運転の場合、2台のポンプが稼働していますが、1台が壊れたら同様にもう1台も壊れる可能性があります。設置から10~15年経過し、ポンプが故障したら加圧給水ユニットを交換しましょう。
トラブルとエラーの対応
加圧給水ユニットで起こりやすい主なトラブルと、エラーの対応方法を説明します。
給水栓を開いても水が出ない
給水管のバルブが閉じている、受水槽が渇水になっていることが原因です。バルブに原因がある場合はバルブを開け、受水槽に原因がある場合は受水槽に水を供給します。
水を使用しないのにポンプが始動する
給水管からの水漏れが原因です。点検・修理が必要です。
ポンプがチャタリングを起こす
圧力タンクの封入圧力が低下及び圧力タンクのダイヤフラム破損が原因です。圧力タンクに空気を充填又は圧力タンクの交換をして下さい。
インバータ保護動作が作動する
電動機の不良による過電圧、過電流が原因となります。軸受等の点検・修理が必要です。
まとめ:トラブルの原因を熟知し的確に対応することが重要
加圧給水ユニットは、受水槽からの水を加圧し建物内に配水します。ポンプ・タンク・制御機能が一体となっているため導入しやすく汎用性があります。反面、ユニットを構成するパーツが多く、故障した場合に原因を突き止めるのが難しいというデメリットがあります。
また、加圧給水ユニットにはパーツごとに耐用年数があります。配水の異常などが発生する前に、定期的に点検し、的確に異常部分を交換することが望まれます。
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