接着剤って実は・・・・奥深い!?
ビニル管の接合に欠かせないアイテムの1つに【接着剤】があります。 塗布して接合するだけと容易に認識しがちですが、ひとえに接着剤と言っても多種多様で、配管用途によっては使い分けも必要です。
種類ごとの違いはなんだろう?管種別に塗布する量の違いはあるの?保持する時間はどれくらい?意外と知らないことが多い接着剤。今回はその身近なアイテムであります【接着剤】のご紹介です。
株式会社クボタケミックス様の接合用品を参照に、種類・接合方法をご紹介させていただきます。
種類(一般的に需要が多い商品を抜粋)
ビニル系接着剤規格:<日本水道協会規格品JWWA S 101準拠品>及び<メーカー規格品>
タフダイン青(低粘度・速乾性)・タフダイン赤(高粘度・速乾性)
②大口径用接着剤(排水用)水道はNG!!:塩ビ管・継手協会規格品 AS19
タフダイン黄(高粘度・遅乾性)
タフダインHI・タフダインHI(白) (低粘度・速乾性)
タフダインHT(低粘度・速乾性)
⑤DV継手・二管路管継手用接着剤(排水・通気用)水道はNG!!:メーカー規格品
カラータフダインブルー(低粘度・速乾性)
接合方法【接着(TS)接合】
継手の受口をテーパにして接着剤による継手膨潤・塩ビの弾力性を利用したもので、受口と差口を一体化する工法になります。
接合の要点は下記の通りです。
- 切断で生じたバリやカエリを面取り器またはヤスリで面取りを行い、ゼロポイントを確認し標線を記入します。(ゼロポイントとは接着剤を塗布せずに継手受口に管を挿入し継手受口内面に挿し口管端が当たって止まる位置をいいます)
- 受口内面及び管差口外面を乾いたウエス等できれいに拭き取る。(特に注意して拭き取るのは油分と水分)※接着剤の塗布面に土砂や水、油等が付着していると接着不良の原因となります。
- 受口内面及び差口外面(標線位置まで)に接着剤を刷毛で薄く均一に塗る。
- 接着剤塗布後は、素早く差口を受口に捻らず差し込みそのまま押さえる。押さえ時間の目安は、呼び径50以下は30秒以上、呼び径65以上は60秒以上とする。※管が破裂する恐れがある為、叩き込みによる挿入は絶対にしないで下さい。
- 接着後、はみ出した接着剤を素早く拭き取り、接合後に無駄な力を加えない事。※接合後、通気などにより溶剤ガスを排出して下さい。
接着剤塗布量(参考数値)
ソルベントクラッキングをご存じですか?
ソルベントクラッキングとはストレスクラッキングの一種で、ソルベント(溶剤)の加わった時にヘアークラック(小亀裂)が生じる現象です。大きな亀裂に発展し漏水事故につながる可能性がありますのでご注意ください。
塩ビ管の場合、次の要因が加わったときに発生する可能性が高くなります。
- 接着接合後の管路密閉
- 接着剤の塗りすぎによる管内面への溶剤の存在
- 熱応力・管の偏平・管の曲げ等による無理な応力が作用している状態
- 冬季配管時等の低温での配管
予防対策
- 標線以上にはみ出して接着剤を塗布しない。
- 継手受口内面に薄く均一に塗布し、管内面のはみ出しをしない。
- 挿し口挿入後、はみ出た接着剤はウエス等で拭き取る。
- 曲り部にはベンド管を使用し、管の生曲げ配管を行わない。
- 配管支持は幅の広いバンド等を用い、応力が集中しないように注意する。
- 埋め戻し時は気温差による熱応力の発生や外的衝撃を防止するため配管後は速やかに埋め戻す。(管を冷やさない)
- 管路の末端部を密閉せずに開放し接着剤蒸気を排除してください。
- 配管後、送風機等で溶剤ガスを排除する。
- 通水洗浄する場合は、呼び径50以下は30分、呼び径65以上は1時間経過後水圧がかからないよう通水洗浄する。
※また、DOP・フタル酸エステルなどの可塑剤やキシレン・トルエンなどが含まれるシーリング材等もソルベントクラッキングを発生させる可能性がございますのでご注意ください。
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