水道メーターの構造と特徴について【完全版まとめ】
水道メーターは、水道水の水量を計量し使用料金の取引を行うことから、積算体積計とも呼ばれます。計量法上で、水道メーターは特定計量器として扱われています。 この記事では、水道メーターの構造と種類について説明します
水道メーターの構造
水道メーターの構造は大きく分けて4つあります。それぞれの特徴と種類について解説します。
1.接線流羽根車式
計量室内に取り付けられた羽根車に、接線方向から噴射水流を当て、羽根車を回転させて通過水量を積算表示する構造です。単箱型と複箱型の2種があります。 接線流羽根車式は構造がシンプルで故障が少なく、安価なため、最も多く使用されています。一般家庭に設置されている水道メーターのほとんどがこの構造です。
単箱型
単箱型は、メーターケース内に流入した水流を直接羽根車に与える仕組みです。メーターケースそのものが計量室になっているため、計量室が外箱を兼ねている構造となっています。主に13mmの接線流羽根車式に採用されています。
複箱型
複箱型はメーターケース内に別の計量室があり、複数のノズルから噴射水流を羽根車に与えます。単箱型と異なり、計量室と外箱が別なのが特徴です。主に20mm 以上の接線流羽根車式に採用されています。
2.軸流羽根車式(ウォルトマン式)
メーター内の水流と螺旋状の羽根車の回転軸が同一方向の構造のものを、軸流羽根車式と呼びます。小流量から大流量までの広範囲を計量し、特に大きい流量に適しています。
羽根車の軸が垂直に搭載されているものを「たて型軸流羽根車式(たて型ウォルトマン)」、 羽根車の軸が水平に搭載されているものを「よこ型軸流羽根車式(よこ型ウォルトマン)」と呼びます。
たて型軸流羽根車式(たて型ウォルトマン)
メーターケースに流入した水流が整流器を通り、垂直に設置された螺旋状羽根車に沿って下方から上方に流れ、羽根車を回転させる構造です。メーターの取付け部は主にフランジ式で、計量部とストレーナ部で構成されています。
羽根車の回転がスムーズなため感度がよく、小流量から大流量まで広範囲の計量が可能なため、ビルや工場や商業施設などに用いられます。圧力損失がやや大きい点に注意が必要です。
よこ型軸流羽根車式(よこ型ウォルトマン)
「たて型軸流羽根車式」との違いは、螺旋状羽根車が水平に設置されている点です。こちらの方が羽根車の回転負荷がやや大きくなります。直管の形状と同じ円筒形で、通過容量が大きく圧力損失が小さいので、微小流量域での性能が若干劣ります。大容量設備に使用されます。
3.電磁式
計測するための羽根車などの構造物がなく、磁界中の導電性流体の運動による起電力を利用した構造です。磁界の中を導電性流体が流れると、流れる向きとは直角の方向に平均流速と比例した起電力が発生するという、ファラデーの電磁誘導の法則原理に基づいています。
圧力の損失がほとんどなく、可動部の摩耗や異物による故障が少ないため、耐久性に優れているのが特徴です。絞り機構や可動部が不要なため、幅広い分野で利用されてきています。
4.電子式
羽根車に永久磁石を取り付け、羽根車の回転を磁気センサーで電気信号として検出し、表示部に内蔵したマイコンにより演算処理して通過水量を液晶表示する構造です。 通信機能を持つため、検針が難しい場所に設置された水道メーターの検針や、集合住宅の検針の効率化が可能です。
また、自己診断機能(漏水検知や逆流検知・過大流量検知など)を搭載しており、日頃からの異常監視など、管理面のメリットもあります。
遠隔で検針する場合は、パルス式と電子式の遠隔指示装置があります。パルス式の場合はメーターと検針盤や表示器の指針値を人為的に合わせる必要があります。対して電子式は通信で行うため、結線するだけで指針値を合わせる必要はありません。
水道メーターの目盛盤
水道メーターの目盛盤には、湿式と乾式があります。以前から使われてきた湿式のメーターは、目盛盤が水に浸かっています。そのため、経年により色あせたり目盛りが見えなくなったりという問題が指摘されていました。
近年利用されている乾式は、目盛がある表示部分が受圧板により水流の部分と離れている構造です。汚れにくく結露しにくいため、表示が読みやすく、経年変化も少ないというメリットがあります。 また、過去は取引単位であるm3桁も円読式であったため、読み取るにも経験を要していましたが、直読式となっている昨今では数字を直接読み取ることができるため、誤検針を抑止できるようになっています。
パルス式の遠隔用のメーターでも指針値を定期的に確認する必要があるため、メーター本体も直読式であれば読みやすいでしょう。
水道メーターの選び方
水道メーターには多くの種類があります。一般住宅、商業施設、工場、農業、集合住宅など、設置場所の環境によって適したメーターは変わります。それぞれ口径や使用流量などの条件や用途によって選ぶことが大切です。 また、単なる配管口径だけでメーターを選定したり、コスト重視でメーターの口径を小さくしたりすることは早期故障の原因となるため、適正な器種選定が必要となります。
特に受水槽への給水用や井水の汲み上げなどについては、一定流量で使用されるため早く満水にするために、配管口径のメーターよりも多く流す傾向があります。そのような場合には事前に使用流量を確認することも重要です。
なお、水道メーターは計量法により8年で交換が義務づけられています。交換時の取り外し・取り付け工事も想定してメーターを選ぶことも忘れてはなりません。
まとめ:種類と特徴、用途を考慮して選ぼう
水道メーターには構造や指針表示方法など多くの種類があります。設置する場所や環境、使用流量などの条件や用途によって適切なメーターを選ぶことが重要です。
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