蒸気トラップが故障するとどうなる?種類別の構造を紹介
蒸気トラップとは、ボイラーなどの蒸気を扱う機器内に溜まる凝縮水(ドレン)を排出する装置です。スチームトラップとも呼ばれます。蒸気トラップは種類ごとに構造が異なるため、全てを把握するのは簡単ではありません。しかし、修理や交換をするためには、構造を把握しておくべきです。
そこでこの記事では、蒸気トラップの種類ごとの構造や故障時の症状などについて紹介します。
蒸気トラップの構造
蒸気トラップは、ドレンとエアーを排出することで配管内の蒸気を効率よく使用できる省エネルギー装置です。ウォーターハンマー現象によって生じる騒音や損傷を防げます。それらを可能にしている構造について、蒸気トラップの中でも使用されることが多い代表的なフロート式を用いて紹介します。
レバー付きフロート式の構造
ドレンの排出をコントロールするベンタイがフロートに連結されています。ベンタイとベンザは、蒸気漏洩を無くすためドレンの最低水位より下の位置にあり、ドレンにより水封(ウォーターシール)されています。ドレン流入位置より上部に空気抜弁を内蔵しています。
レバー付きフロート式の作動
1.通気前、フロートは下がった状態にあり、弁閉しています。空気抜弁は周囲温度が低いため、弁開しています。
2.通気するとトラップ内に空気とドレンが蒸気に押されて入り、空気は空気抜弁から、ドレンはフロートを浮き上がらせ、ベンザから排出されます。
3.空気、ドレンが排出され蒸気が流入すると、空気抜弁は蒸気の熱により弁閉し、フロートは自重で下がって弁閉します。
4.ドレンが流入すると水位が上昇し、フロートが浮き上がり弁開状態となってドレンを排出します。
通気は①→②→③の順番で行われ、通常運転は③→④を繰り返します。
蒸気トラップの種類
蒸気トラップは作動方式により、大きく次の3つに分類されます。
〇メカニカル式
〇サーモスタチック式
〇サーモダイナミック式
それぞれについて簡単に紹介します。
メカニカル式
メカニカル式には下向けバケット式とレバーフロート式の製品があり、フリーフロート式はメカニカル式のフロート式に含まれます。蒸気とドレンの比重差を利用するタイプです。ドレンが溜まると、フロートやバケットが浮力により上下し、弁を開閉してドレンを排出します。
サーモスタチック式
サーモスタチック式には、ベローズ式、サーモエレメント式、サーモワックス式、バイメタル式の4種類があります。
サーモスタチック式は、蒸気とドレンの温度差を利用します。例えばベローズ式の場合、高温の蒸気が流入すると膨張し弁を閉じ、低温のドレンが流入すると収縮して弁を開きドレンを排出します。
サーモダイナミック式
サーモダイナミック式には、ディスク式とオリフィス式の2種類があります。蒸気とドレンの熱力学特性差を利用するタイプです。入口側と出口側圧力との中間に変圧室があり、流入してきた蒸気や高圧ドレンからの再蒸発熱蒸気の圧力によって弁が閉じます。変圧室の温度がドレンまたは自然冷却によって一定以下になれば、変圧室の圧力が降下し開弁します。
故障に備えて定期点検する
蒸気トラップは定期的に点検する必要があります。高温の蒸気を扱う機器であり、経年劣化が避けられないためです。使用条件や設置環境により、早く不具合や故障が起こることがあります。
蒸気トラップが故障し、ドレンが出ない、蒸気が止まらないなどの症状が起こると、蒸気を無駄に排出し、効率的な生産ができなくなります。また、ドレンが溜まることでウォーターハンマー現象などが発生し、機器の損傷に繋がる可能性もあるでしょう。
蒸気トラップの内部は複雑な構造になっているため、故障した際はメーカーや、専門知識がある商社、設備業者に相談することをおすすめします。
蒸気トラップの構造を理解し定期点検をしよう
この記事では蒸気トラップについて紹介しました。蒸気トラップの構造は種類ごとに異なります。故障してからの対応は簡単ではないため、ご使用の蒸気トラップの構造を理解し、定期点検をして蒸気が漏れていないか、ドレンが排出されているかを確かめましょう。
内部構造は複雑なため、故障の疑いがある場合や修理に不安がある場合は、すぐにメーカーや専門の企業に相談しましょう。
三興バルブ継手株式会社であれば、蒸気トラップの選定から見積もり、納品にも柔軟に対応します。