レーザースキャナーの概要と知っておきたい測定の原理
レーザースキャナーは、工業製品製作や建設・改修工事などで使用されることが多いです。目視では計測が不十分になりがちな複雑な構造でも、くまなく計測できるため、現地調査(現調)などで多く利用されています。
この記事では、レーザースキャナーの計測方法について、原理などの概要を説明します。レーザースキャナーの概要を知ると利用の幅が広がり、価値がさらに高まるはずです。
レーザースキャナーの概要
レーザースキャナーは、対象物の空間位置情報を取得する計測装置です。レーザースキャナーから照射されるレーザー光線が対象物に当たって往復し、距離や角度を割り出します。
レーザースキャナーは、毎秒100万本以上のレーザー光線を照射し、点群データと呼ばれる計測結果を取得します。点群データは点が群れているように見えるほど大量の点の集まりで、ひとつひとつの点には、照射物のわずかな凹凸も空間座標(x、y、z)で記録されており、照射物の形状を精密にデータ化します。
レーザースキャナーは、見えるものすべてのデータを取得することから、漏れなく計測できるという大きな特徴があります。そのため、レーザースキャナーは、現地調査において優れたツールとして利用されています。
また、レーザースキャナーは、次の4つに分類できます。
- 地上型3Dレーザー(TLS)
- UAVレーザー(ULS)
- 航空レーザー(ALS)
- 車載型レーザー/モバイルマッピングシステム(MMS)
レーザースキャナーは、反射プリズムなどのターゲットを使わずに、安全に大量の点群データを取得できます。レーザースキャナーは、ごく短時間に3次元でのデータを取得できる計測技術のひとつです。
レーザースキャナーの原理について
レーザースキャナーの測定方法は2つあります。この項目では、基本的な計測原理について解説します。
タイム・オブ・フライト方式
タイム・オブ・フライトは、3Dレーザースキャナーで主に使用される計測方法です。対象物に直接触れることなく測定対象物にレーザー光線を照射して、レーザーが対象物から返ってくるまでの所要時間を、対象物までの距離に換算する方式です。
時間と同時にレーザーの照射角度を計測し、X,Y,Zの3つの座標を用いて対象物の座標位置を算出します。 タイム・オブ・フライトでは、3次元座標のデータ取得のほか、RBGカラー座標や反射強度、反射率、角度情報など、多くの情報を得ることができます。
フェイズシフト方式
フェイズシフト方式は「位相差方式」とも呼ばれます。複数の変調させたレーザー光を対象物に照射し、対象物から反射して戻ってきたレーザー光の位相の差を測定し、対象物までの距離を求めます。 タイム・オブ・フライト方式は精度の高い測定が行えますが、フェイズシフト方式よりも測定時間が多くかかります。一方、フェイズシフト方式は測定時間は短いですが、測定ノイズが多く発生します。
3Dレーザースキャナーでできること
ここでは主な3Dレーザースキャナーの機能を紹介します。3Dレーザースキャナーには、対象物の構造・距離の測定以外にもさまざまな機能があります。
レーザー照射で正確なデータを取得
3Dレーザースキャナーで点群データを取得することによって、高精度の図面データを取得できます。平面図のほか3Dモデルを作成することができ、建物の改修工事のプランニングに活用できます。
3Dレーザースキャナーで取得したデータは、専用のソフトで読み込む必要があります。画面上に座標データが点(ドット)で表現されており、この情報に基づいて測定した現地の状況をパソコン上で再現することができます。
作業の効率化と時間短縮
工場内部の図面作成までの過程を大幅に短縮できます。改修規模によっては現地調査に1週間以上かかることがありますが、3Dレーザースキャナーを使えば現調から図面の完成まで1〜2日程度に短縮できます。図面の制作日程が明確になりやすく、工程管理がスムーズです。
人員の省力化と労務負担の軽減
現地調査にかかる期間を大幅に短縮できるため、人員の省力化と作業時間の効率化が見込めます。少ない人数でCAD業務を回すことができる上、CADオペレーターの業務負担を縮小でき、残業など労務負担も軽減できます。
プレゼン資料作成のツール機能
客先へのプレゼンやシミュレーション資料の提出時のツールとしても、3Dレーザースキャナーは有効です。例えば、設備を入れ替える際、新しい設備を設置するとどうなるのか、古い設備の撤去時、既存の設備に干渉せず移動できるかシミュレーションできます。 ほかに、次のようなメリットがあります。
- プリセールス段階での調査にかかる工数の削減
- BIMやCADでの共有
- 強度や空調の解析
さらに、現地調査での目視ではとらえにくい部分を反映したり、口頭では表現しずらい箇所を画像ベースで可視化するなど、顧客への説明時の補助ツールとしても役立ちます。
3Dレーザースキャナーの詳細はこちらのページをご確認ください。
まとめ:測定だけではもったいない!3Dレーザースキャナー
レーザースキャナーは、対象物の空間位置情報を取得する計測装置です。
測定方式には2通りあり、タイム・オブ・フライト方式が採用されていることが多いです。 近年では、3Dレーザースキャナーが多く使用されています。3Dレーザースキャナーは、改修工事など現地での測定や図面化だけでなく、さまざまな資料の作成にも活用されています。現調にかかる工程の短縮など業務改善にも役立つため、フルに使いこなすのがおすすめです。
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次の事例もぜひ参考にしてみてください。
3Dレーザースキャナー活用事例①工場の改修工事に現況の図面が必要な場合
3Dレーザースキャナー活用事例②新設する配管ルートを現況の図面に併記したい
3Dレーザースキャナー活用事例③現況を図面化して今後の改修工事に役立てたい