配管図面の見方|配管系統図や設計で使用する記号を解説
建物に配管は欠かせません。配管を施工する場合、高温や圧力に対する強度、および流体の腐食に対応する配管材質などを確認し、適切な配管サイズの選定をする安全対策が必須になります。
しかし、よく似たものが多い図面の記号や複雑な構造の配管をスムーズに理解するのは知識が必要です。
この記事では、配管系統図や使用する記号などを解説します。建設に携わる方にとって重要なスキルの1つとなる配管図面の見方を学べる内容です。
配管系統図とは
配管系統図は、建設に使用する液体や気体などの配管や機器の配置、制御系統を表した図面です。図面は3次元ではなく、平面上に各記号を用いて表します。ダクト系統図や電力系統図、弱電系統図などと同様に建設の設計管理に活用します。
工場やプラントやビルなど、あらゆる建設に使用する配管を示すことで、流体の流れ、計測・制御ループ、物質の流れなどを把握できます。プロセスの理解、トラブルシューティングに用いられるため、施工管理者や工程技術者のほか、クライアントにとっても重要です。
簡易な配管工事であれば数枚の配管系統図で収まりますが、大規模な工事になると数十枚になる場合もあります。
配管系統図に示す内容
配管系統図には次の内容を示します。
- 配管の材質
- サイズ・厚み
- バルブや継手の種類
配管系統図には、バルブの名称や記号、各図面の関連性や配管などの情報を詳細に記載します。他の設計図と統一を図り、施設の運用や保守、改善を円滑に行うためにも、設計者として非常に詳細な作業が求められます。
配管系統図の目的
配管系統図は、取合い確認や配管ルートの検討、配管工事の見積積算のために活用するのが一般的です。
例えば、各バルブやフランジのサイズや規格、圧力レートなどを記載することにより、手配した機器と配管系統図に記載したものが一致しているのかを確認します。配管と機器のつながりや配管サイズなどの情報を参考にできるので、配管ルート図の作成時に役立ちます。
大まかな金額を算出する際には、配管の規格や長さ、重量などの情報を有効活用することで発注リストを作成できるでしょう。
アイソメ図でよりわかりやすく示す
配管のアイソメ図とは、X・Y軸で示した平面図に、Z軸を加えて三次元的に配管を描いた図です。複雑な配管ルートを現場担当者、あるいは施主への説明用としてより分かりやすく表現するために使用します。
高さや奥行きなど、2D図面では表現するのが難しい情報を立体的に示せます。構造が複雑な現場で平面図や立面図を使用すると、貫通部や交差、高低差などの要素も含まれていて正確に図面を理解するのが難しい場合があります。そのため、配管ルートを立体的に表示できるアイソメ図であれば、現場をイメージしやすいでしょう。
また、アイソメ図は測定結果を記入するための図面としても利用する場合もあります。
配管図面の主な記号
ここでは、空調や衛生など、配管の種類にかかわらず配管図面で使用される主な記号を紹介します。
配管の種類
塩ビライニング鋼管 | VL |
ポリ粉体鋼管 | PL |
コーテディング鋼管 | CT |
排水用塩ビライニング鋼管 | DVL |
ステンレス鋼管 | SUS |
鋳鉄管 | CI |
鉛管 | L |
銅管 | CU |
ビニル管 | V |
ポリエチレン管 | P |
コンクリート管 | C |
メインとなる配管は実線で表記され、配管の種類は上記のように示します。管の太さや種類を示す場合は、図の下か右から読めるように引出線を使用します。管の太さや種類を同時に示す場合は、管の太さを表す文字の次に菅の種類を表す記号を記入します。
配管の状態を示す記号
出典:公共建設設備工事標準図|一般共通事項|国土交通省 P2
配管の接続状態および流れを示す場合には上記の記号を使用します。立管は、鉛直方向(上下方向)に配管や管継手が設置された管路のことです。
建築物では、水やガスなどの流体を建物の各階に供給するために立管を使用するのが一般的です。例えば、住宅やビルでは上階への水の供給や下水の排水、消火栓や消火設備にも立管が使用されることがあります。立管を流れる流体の方向は、立上りや立下りを使用して示します。
配管継手
配管を接続する際に欠かせない継手は、上記のように線や図形を用いて表します。
流体の方向転換や流体の制御、配管の伸縮などさまざまな配管システムに対応するため、あるいは異なる径や形状の配管を繋ぐ場合には配管継手を使用します。
用途や条件に応じて使用するさまざまな配管の中でも汎用的に活用するのは、配管の方向転換を目的とする90°エルボや配管を3つの方向に分岐させるチーズ、配管同士を繋ぎ、分解しやすくするフランジなどです。
管の固定・貫通部
配管を固定する箇所には、上記のような記号を活用します。配管は、自重を支えるためや流体による脈動、衝撃などにより生じる力を軽減するために固定が必要です。
また、設計上、貫通部分を設けなければならない場合もあるため、把握しておくといいでしょう。
配管図面の見方を理解して施工をスムーズに行おう
配管系統図やアイソメ図について深く理解できれば、現場への指示や施主への説明を円滑に行えます。それだけでなく、取合い確認や配管ルートの検討、配管工事の見積積算もスムーズになるでしょう。
配管図面に使用する主な記号も、ぜひ参考にしてください。
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