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3Dスキャナーの測定原理とは?建築物に適した測定方法について解説

近年、3Dに関する技術は、3Dプリンターをはじめ、多くの工業製品に利用されています。中でも、対象物の形状はもちろん、数値の測定なども可能な3Dスキャナーには、多くの関心が集まっています。

この記事では、3Dスキャナーの計測原理や、3Dレーザースキャナーの機能について説明します。

3Dスキャナーとは?

3Dスキャナーは、対象物に触れたり、光を利用したりすることで、3次元の空間位置データを取得する計測装置です。計測されたデータは3次元の空間座標(x、y、z)で記録されます。 3Dスキャナーを使ってスキャニングして取得したデータを、データ処理装置までエクスポートするのが、3Dスキャナーの基本的な機能です。

スキャンの際に角度が異なる複数のショットを取得してつなぎ合わせることで、できる限り抜けのないデータを作成できます。 スキャン時、データ取得の方式によって、スキャンできる対象物の大きさなどが異なることに注意が必要です。

スキャンデータのエクスポートは、点群あるいはメッシュデータのいずれかで可能です。スキャナーによっては、点群かメッシュデータのいずれかを選択できるものもあるため、データをどのように活用するのかあらかじめ決めておき、最適なデータ形式を選びます。

接触式、非接触式かで計測原理が異なる

3Dスキャナーの計測方法は、大きく分けて接触式、非接触式があります。さらに非接触式にはレーザー光線方式とパターン光投影方式とがあります。計測方法によって原理が異なります。

接触型

接触式の3Dスキャナーは、センサーやプローブ(探針)で対象物に直接接触して接触点の凹凸を測定し、座標として取得する方式です。 対象物に直接接触して測定する接触式は古くからある方式です。

しかし、接触式でしか測れない対象物もあるため、今日でも利用されています。測定の精度も、非接触式よりも優れているものが多いです。 しかし、測定に時間がかかる、大きな対象物の測定が難しいなどのデメリットもあります。

非接触式(レーザー光線式)

レーザー光線を対象物に照射して対象物から跳ね返ってきたレーザーの位置情報を測定し、対象物の座標データを取得する方式です。非接触式には、大きく分けて「三角法方式」「TOF(タイムオブフライト)方式」「位相差方式」があります。

三角法方式

ラインレーザーを交差させた状態で対象物に照射し、その反射光をセンサーで取得後、三角測量の原理を使って距離を計測する方法です。 高精度の計測が可能ですが、比較的近距離の範囲や、小さい対象物の計測に適しています。

タイム・オブ・フライト(Time of Flight)方式

対象物に発射したレーザーが反射して返ってくるまでの時間を計測すると同時に、スキャナーの移動方向からレーザーを発射した角度を算出します。これらの情報から3次元位置情報を求める方式です。

タイム・オブ・フライト方式は、一般的に何百、何千メートルの距離を測定できるため、建築物など広範囲におよぶ対象物の測定に向いています。

位相差方式

複数に変調させたレーザー光を照射し、対象物に当たって戻ってきた拡散反射成分の位相差を元に対象物との距離を測定する方法です。フェイズシフト方式とも呼ばれます。

スキャナーの移動方向から照射した角度を算出し、距離と角度から3次元位置情報を求めることができます。

非接触式(パターン光投影方式)

スキャナーに搭載されたプロジェクターから縞模様や二次元バーコードのようなパターン光を照射し、物体に投影する方式です。

パターン光には、多くの場合LEDが使われています。 物体に投影されたパターンの変化をカメラで見ることで、3 次元の座標データをスキャンすることができます。ただし、LEDを使用しているため、黒色や反射する物質、透明な物質には投影できず、スキャンが難しいです。

計測方式により取得できるデータに大きな違いはありません。ただし、精度や解像度には差異があり、スキャンする対象物の大きさ、色などで向き不向きがあります。

3Dレーザースキャナーでできること

3Dスキャナーは、通常多くの場合3Dレーザースキャナーを指します。ここでは主な3Dレーザースキャナーの機能を紹介します。対象物の構造・距離の測定だけではなく、多彩な機能があります。

レーザー照射で正確なデータを取得

3Dレーザースキャナーで点群データを取ることにより、高精度の図面データを取得できます。平面図の他、3Dモデルを作成することができ、改修計画に大いに活用が可能です。3Dレーザースキャナーで取得したデータは、専用のソフトで読み込む必要があります。

画面上に座標データが点(ドット)で表現されており、この情報に基づいて測定した現地の状況をパソコン上で再現することができます。

作業の効率化と時間短縮

工場内部の図面作成までの過程が大幅に短縮可能です。改修規模によっては1週間以上かかることもありますが、3Dレーザースキャナーを使えば現調から図面の完成まで最短1〜2日に短縮できます。図面の制作日程が明確になりやすく、工程管理がスムーズです。

人員の省力化と労務負担の軽減

現地調査にかかる期間を大幅に短縮できるため、人員の省力化と作業時間の効率化に寄与します。現地調査にかかる時間を大幅に短縮できます。 少ない人数でCAD業務を回すことができる上、CADオペレーターの業務負担を縮小できるため、残業など労務負担も軽減できます。

プレゼン資料作成のツール機能

客先へのプレゼン・シミュレーション資料提出の際のツールとしても、3Dレーザースキャナーは有効です。例えば、次のような事案も3Dレーザースキャナーの機能で解決できます。

  • 新しい設備を設置するときに、古い物を撤去したらどうなるのか、そこに新しい設備を設置するとどうなるのかシミュレーションできる
  • 撤去の際、通路をほかの機器に干渉せずに通れるのかどうかもシミュレーションできる。
  • プレセールス段階での調査にかかる工数を減らせる
  • BIMやCADで共有できる。強度解析や空調解析ができる

さらに現地調査での目視ではとらえにくい部分の反映や、口頭では表現しずらい箇所を画像ベースの可視化によって伝達が可能となるなど、説明の補佐的ツールにも役立ちます。

まとめ:3Dレーザースキャナーで業務をスムーズに!

3Dスキャナーは、接触や光を利用して対象物の空間位置情報を取得する計測装置です。

工場やプラントなど建築物の構造を計測する場合は、レーザー光線を用いる非接触型のタイムオブフライト方式が一般的です。 3Dスキャナーとしては、3Dレーザースキャナーが多く使用されています。

改修工事など現地での測定だけではなく、3Dモデリング、様々な資料作成などにも3Dレーザースキャナーでの取得データが利用されています。高精度で業務に沿った機能を備える3Dレーザースキャナーを選ぶのがおすすめです。

次の導入事例記事もぜひ参考にしてみてください。

3Dレーザースキャナー活用事例①工場の改修工事に現況の図面が必要な場合
3Dレーザースキャナー活用事例②新設する配管ルートを現況の図面に併記したい
3Dレーザースキャナー活用事例③現況を図面化して今後の改修工事に役立てたい

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