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3Dレーザースキャナーとは?その用途や3D CAD化についても解説

産業プラントをはじめ、さまざまな新築・改修の施工計画には図面が必要になります。

「既存の図面が古くてわかりにくい」
「改修を繰り返しているため正確な図面がわからない」
「現地調査をする人員や時間が足りない」

このような悩みを抱えている企業は多いのではないでしょうか。そのような場合には、3Dレーザースキャナーがおすすめです。

そこでこの記事では、3Dレーザースキャナーの概要と、図面を3D CAD化する方法について解説します。

3Dレーザースキャナーとは

3Dレーザースキャナーとは、測定対象物にレーザーを照射することで触れることなく3次元座標データが取得できる計測・測定器です。

従来の2D図面ではX・Y軸の平面で表現されていましたが、3Dレーザースキャナーの普及によってX・Y・Z軸での立体図で表現できるように図面が大きく変化しました。 3Dレーザースキャナーの利用によって、地形や構造物を立体的に捉えられるようになりました。

現実の空間をありのまま表現できるため、今後、さらなる活用が期待されています。

 

3Dレーザースキャナーの原理と機能

3Dレーザースキャナーから照射するレーザーが対象物に当たって反射し、返ってくる時間と照射角度を算出して、対象物までの距離と3次元座標データを取得します。

内蔵されたデジタルカメラで撮影した写真の色やレーザーの反射強度を測定し、取得した点群データを着色することも可能です。計測が難しい地形や構造物の場合、複数箇所で計測した複数のデータを合成して全体の3次元座標データが得るなど、高い機能性を備えています。

3Dレーザースキャナーで取得できる点群データとは?

3Dレーザースキャナーを活用して点群データを取得します。

点群とはその名の通り点の集まりを指し、X・Y・Zの3次元座標で表します。 点群データを「3次元座標データ」や「ポイントクラウド」と呼ぶこともあり、3Dレーザースキャナーで取得する点群データは、立体での表現が可能です。次のようなこともできます。

また、見たい部分だけを切り取ったり、3D図面に起こして360°回転させながらのリサーチしたり、配管や鉄骨、壁などの部材を自動的に抽出したりもできます。

3Dレーザースキャナーの用途

3Dレーザースキャナーは汎用性が高く、次のようなさまざまなシーンで活用されます。 ・建築物の改修 ・土木工事 ・CADモデル作成 ・機械・資材搬入シュミレーション それぞれについて解説します。

建築物の改修

建築物の改修では、産業プラントメンテナンスなどの建築物や設備管理に伴う改修時の図面を作成する際に活用されます。

工事現場

土木工事をする際の地形の計測やトンネル内の調査、既存構造物の変位調査などに活用されます。

CADモデル作成

3Dレーザースキャナーと3D CADを用いてモデリングします。

機械・資材搬入シュミレーション

機械や配管の入れ替え時に、新しいものが既存のスペースに入るか、または移動経路を通過できるかなどの確認ができます。

3Dレーザースキャナーは主に5種類ある

3Dレーザースキャナーには用途に合わせたいくつかの種類があります。ここでは、3Dレーザースキャナー5種と用途を解説します。

1.設置型レーザースキャナー

建築物や土木工事現場など屋内外問わず、短時間で3次元座標データが取得できる非常に汎用性の高いレーザースキャナーです。

設置型は、3Dレーザースキャナーの中で最も多く使用されています。基本的には三脚の上に置き、安定させた状態で計測を行います。スキャナーを中心に360°全方向にスキャニングできるため、さまざまな用途に使われています。

2.移動式レーザースキャナー

主に森林調査などに用いられ、効率的に間伐・伐採計画を立てられます。人が背負って持ち運びながら測量でき、設置型スキャナーが持ち運べない場合や設置できない場合に役立ちます。設置型に比べると精度は劣ります。

3.車載型レーザースキャナー

一度の走行で広範囲の道路情報を取得して、路面の補修計画や災害時のシュミレーションを行う際に役立ちます。 車載型のレーザースキャナーとデジタルカメラ、GPS装置、IMU(慣性装置)などの各種センサーを自動車に積み込み、MMS(モバイルマッピングシステム)として運用します。

4.ドローン搭載型レーザースキャナー

レーザースキャナーをドローンに搭載しているため、空中を移動でき地形を問わず測量できます。ゴルフ場のような広大な土地や、人が立ち入るのが難しい山間部などの測量に向いています。情報通信技術を取り入れたICT重機と連携して活用されることが多いです。

5.ハンディタイプ・アームタイプレーザースキャナー

局所的なスキャニングが可能なため、工作機械などの細かい部品や、設置型では上手くスキャニングできない死角になるような部分の計測などに用いられます。手で持ち運べるタイプと、台の上に設置しアームを動かして計測するタイプがあります。

3Dレーザースキャナーを活用する3つのメリット

ここでは3Dスキャナーの活用によって得られる具体的なメリットを解説します。

現地調査にかかる日数・工数の削減

通常の現地調査や作図にかかる人員や時間を大幅に削減することができます。プリセールス段階での調査工程も少なく済みます。また、点群データを用いることで作業現地のデータを使った説明資料の作成や計画などさまざまなシミュレーションが可能です。

BIM・CADで共有ができる

3Dスキャナーで得たデータをBIM・CAD共有することで、建物の構造などの詳細情報を解析するリバースエンジニアリングが可能になります。図面のない建物の作図や見えない部分の不具合の原因究明もできます。

遠距離・広範囲にわたって測定が可能

レーザーを照射し、360度回転して測定を行うため、遠距離・広範囲にわたって測定できます。写真を撮るのと同等かそれ以上に正確に、詳細を把握したり、解析したりできます。

3Dレーザースキャナーの詳細はこちらのページをご確認ください。

まとめ:採用している3Dスキャナーの特徴

3Dレーザースキャナーは、産業プラントの設備メンテナンスや工事現場、構造物などのあらゆる図面の取得だけでなく、CAD・BIMに点群データを共有することであらゆるモデリングやシミュレーションを可能にしました。

三興バルブ継手株式会社では、3Dスキャナーを活用した工場の図面化を実施しております。実際の施工事例を紹介した記事もありますので、ぜひ参考にしてみてください。

3Dレーザースキャナー活用事例①工場の改修工事に現況の図面が必要な場合
3Dレーザースキャナー活用事例②新設する配管ルートを現況の図面に併記したい
3Dレーザースキャナー活用事例③現況を図面化して今後の改修工事に役立てたい

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